四代目又右衛門の頭の中を書いたブログ
MATAEMON'S THINKING BLOG
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先月、私自身が現地で最終の生育状況を確認し、この週末に私たちのスタッフやお取引先様にお手伝いをいただき、いよいよ収穫作業が始まったので報告させていただきます。
その前に八竜松についてご存知ない方もいらっしゃるかと思うので簡単に紹介させていただきます。

八竜松は、現在の秋田県三種町(旧八竜町周辺)の沿岸部の砂地で長年栽培されてきた迎春用根引き松である。葉が短く引き締まったしなやかな自然曲線の幹が美しく、多くの方に愛されている、とても人気のある松である。その松は3年前まで秋田美人松として限定された生花市場に出荷がされていた。しかし現場で指揮をとっていただいてきた方や、産地の方々の高齢化やその他の事情により、生産継続が近いうちに厳しくなるとうことから、バラエングループとして支援をさせていただくことになった。
私たちが支援させていただくことに踏み切った背景にはいくつかがある。まずは厳しい中長年生産を続けてこられた生産者の想いを引き継ぎたい。今までお取引していただいた方々の要望に応えたい。私たちのスタッフが活躍できる場所を増やしたいという想いである。
さらにグループとして取り組んでいる「植物をまもる。生産をまもる。地球をまもる。」という考えにも合致している。今まではグループ会社で生産用資材や技術の開発にて生産をまもる活動をしてきたが、今回のように生産自体を引き継ぐことも必要と考えての取り組みである。

そこでこの事業を行う節目の時に、八竜町の地名と、私の生まれた干支であり、私が敬う龍とのご縁というのもあり、この地で生産する根引き松を八竜松と改称し、氏神様にご報告をさせていただいたというのが八竜松の由縁である。簡単にと言いながら前置きが長くなってしまいすみません。

そしてこの八竜松を畑から抜き、各市場へ出荷するための作業が今回のミッションである。ただこのように書くと私も作業を行ったように聞こえるが、私は先月の生育状況の確認のみで、冒頭に書かせていただいたように私たちの現地スタッフと各市場や仲卸、小売店の方々にお助けいただき行った。

まずは行き先ごとに振り分けた畑より、健康で良い形に育った松を選んで、木の根元にスコップを入れる担当、引き抜き土を払う担当などに分かれて各人が手際よく進めていく。

ある程度、数がまとまったら大束にして、選別場に移送。そこで必要のない葉をむしって綺麗に仕上げていく。

その後サイズ別などで仕分けを行う。

そして水槽へ。ここで各市場向けに出荷されるまでしっかり水を飲んでいただくことになる。
今年は猛暑にもかかわらず畑の保湿対策などを行ったためか葉が短いにも関わらず例年より緑が濃く、上々の仕上がりである。全国に生き渡せられるほどの生産量はまだまだないので、更なる拡張をできればと思っている。
ただ皆様にもご心配いただき、この事業は「採算が合うのか?」と聞かれることがある。その時に大きな声で「ハイ!」とは言えないが、「大事な事業か?」と聞かれると胸を張って「もちろん」と言える。

私たちの軸となる事業は卸。生産者よりリスクが低い中間流通である。私たちの立場として、スタッフ一同死に物狂いで日々取り組んではいるが、それに加え生産者は自然災害や最近ではクマなどの影響もあるにも関わらず安定した収入が得られない大変な仕事。そのために次世代の継承が難しく廃業されるところが増えてきた。このまま生産していただく方々が減少していけば、当然ながら中間流通の役割も減少してしまう。
それだけではない。花き園芸の生産、特にこのような商材は文化としての役割も担っているので決して失ってはならない事業と思っており、花き園芸業界に身を置く企業としての責務と考えている。

ただ責任感だけでは成り立たない。私たちはこの松と文化を日本だけではなく世界に目を向け取り組んでいきたいと思っている。日の丸を背負って・・・・・