四代目又右衛門の頭の中を書いたブログ

MATAEMON'S THINKING BLOG

2021.06.04

東山動植物園にて思うこと。

今日は、名古屋にある東山動植物園の植物園を訪問した。

東山動植物園は以前からプロジェクトの相談をしたり、植物を届けたり、とても懇意にしていただいている植物園の一つである。
先月の日本植物園協会の総会で、新しくなった温室などを見学できると楽しみにしていたのだが、総会がCOVID-19の影響でリモート会議になったため、訪問が叶わなかった。そのため先日届けした植物の状態も気になることから、急遽お邪魔させていただいた。

到着後、まずはこの春に着任された岡本園長にご挨拶をし、改装された温室を拝見させていただくことにした。

植物園の温室は、昭和12年の開園当初から公開していて、平成18年に国の重要文化財に指定された現存する国内最古の公共温室で、「東洋一の水晶宮」とも称賛されている。
保存修理工事を行い、8年ぶりに今春再オープンしたばかりである。

温室中央では、世界三大聖樹やオオミヤシなどを観ることができる。

向かって左側にはマダガスカルなどからの稀少な植物たちを観ることができる。

また右側には香りの有用植物はじめユニークな植物を観ることができる。ゴマギの香りの強さには驚かされる。

このように植物も魅力的ではあるが、それと同様に魅力的なのは温室自体である。
2013年に閉館して以来、鉄骨を追加するなどの補強を行ったほか、照明器具や床のタイルのデザインを建設当初のものに復元し、ガラスを押さえる部材もアルミから銅製に戻したとのことである。

構造体も、傷んだところをわざわざわかるように補修している。この塗装の下には判別ができる刻印がうたれているとのこと。

タイルのデザインも復元されていたり、基礎の部分の石積みを観ることができるようになっていたり、とても興味深い。

また暖房器具も以前のものを残しながらの改修。吹付け塗装も当時のものにより似せられるように改修している。

温室は正面から見ると、前の池にその姿が映し出されるようになっていて、これまた美しいフォトスポットである。

温室を見学した後は、時間のある限り、日本庭園などを散策した。

門の向こうには也有園が見えてくる。

さらに進むと合掌造りの家や水車などもあり、とても風情があって、素敵な景色である。
そのような場所に身を置きながら、以前から懇意にしている谷口前園長との、語らいの時間はとても贅沢であり、多くのことを学ばせてもらえた。

そして気がつけば、閉園の時間が近づいてきたので、また引き続き一緒に取り組んでいく約束をし、植物園を後にした。忙しい中、長時間お付き合いいただいた谷口前園長には、本当に感謝である。

最後になりますが・・・
東山動植物園のこの温室は太平洋戦争の空襲や伊勢湾台風を乗り越えて、2006年に日本最初期の全溶接建築物として重要文化財に指定された。
実はこのように歴史のある素敵な温室は、以前は身近にあったのである。それは宝塚である。宝塚ファミリーランドにあった大温室は、ここと同様にとても歴史あるものであった。しかしながら残念なことに完全に取り壊されてしまった。日本としても大きな財産であったものが我が街から消えてしまっているのである。

東山では重要文化財として、大切に建物と歴史を保存されている。
かたや宝塚は日本三大植木のまち、園芸のまちでありながら、もうその姿の影もない。
耐震の問題など様々な問題点があったのであろうが、それにしても園芸家としてはとても残念である。何とかすることはできなかったのかと思い、巻き戻せない時間を大変残念に感じてしまった。

しかしながら失ってしまったものを悔いても仕方ないので、新しく歴史を刻んでいける取り組みが生まれてくることを願いつつ、いつの日か必要とされる時が来たら、そのお手伝いができればとも感じた。

そんな素敵な時間、1日に本当に感謝である。